NAGASAKI ATOMIC BOMB MUSEUM MEMORIAL DATABASE
English
原爆資料館
原爆資料館
≪ 戻る
無題
|
資料名 | 無題 |
| 資料番号 | 3-01-06-01-0041 |
| 寄贈年月日 | |
| 寄贈者名 |
小柳大勇 |
| 資料説明 | (作者コメント:原文のまま)自宅付近はまだ燻っていて近ずけない、小川を挟んだ向かい側の道は強制疎開で建物は無く火は出ていなかったが、そこの道にも通行中だったとおもわれる何人かの裸の女性の死体が散乱していた。やっと自宅前とおもわれるところまでたどり着いた。我が家を見定めようと小川の淵にたたずむと、干上がった川床に数人の人が仰向けに横たわり既に事切れていた。と、突然、左端の女の人が「大ちゃんネ」と声を掛けてきた。隣の中岡のおばさんが生きていたのだ。聞くと私の母とは11時少し前まで話し込み、昼から姉が学徒動員(大橋町の三菱兵器工場)で出勤するので、食事の支度があると帰っていったそうだ。おばさんは苦しい息の下から、家族のことも話した。おじさんと中学2年の重明さん、3歳の女の子の四人家族だったが、共に家の下敷きになり、自分だけがやっとのことで這い出したが、家族を助けることもできず、炎に巻かれていったという。「そこに、主人や子供たちが黒焦げになっとるやろう……」と。改めて辺りを見まわしたが、小さい炎と煙がまだ立ち込めていて何も判らない。それは、ちょうど母やおじさん達や多くの人達が、荼毘に付されているかのように、残り火がチョロチョロと燃え続けていた。「お母さんも、どこかその辺におらんやろうかネ……」おばさんが言った。(H14年度、NHK、長崎新聞社などと共催して募集した「被爆者が描く原爆の絵」作品)
|