NAGASAKI ATOMIC BOMB MUSEUM MEMORIAL DATABASE
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原爆資料館
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無題
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資料名 | 無題 |
資料番号 | 3-01-06-01-0039 |
寄贈年月日 | |
寄贈者名 |
小柳大勇 |
資料説明 | (作者コメント:原文のまま)簗橋の袂の石垣が崩れ落ちていて、そこからようやく橋の上に這い上がることができた。橋の上にあがると、三四人の裸の女性の死体と、橋の中ほどの欄干に、今にも倒れそうな格好で、二人の女の人がうずくまっていた。髪はバサバサで皮膚は焼け、わずかに衣服をまとっていた。一人は少女だった。少女は人の気配を感じたのか、「おじさーん」とかすれるような声で、通りがかったおじさんを見上げた。その女の子をみてハットした。少女を知ってる。家は、今這い上がってきた石垣の前の、駒場町側の端の袂にあった。そこらはほとんど燃え尽き跡形もなかった。城山学校の5年生だったが名前は判らない。一人だけやっと逃延びたのであろう、火の玉に焼かれ、夏の炎天下の中、何時間もの間動くことすらもできず、ただひたすら来る当ても無い救助を待っていたのだ。おじさんは「お母さんは、兄弟は?」と訪ねていたが、力なく首を横に振るのが精一杯の様子だった。背負われて同じ町内の横穴壕に連れてこられたときは、「これで助かった、よかった」と、わがことのように思ったのだったがそれも束の間、壕では欲しがる水も与えられないまま、夕方には冷たくなっていた。(H14年度、NHK、長崎新聞社などと共催して募集した「被爆者が描く原爆の絵」作品)
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