NAGASAKI ATOMIC BOMB MUSEUM MEMORIAL DATABASE

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原爆資料館

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無題

無題 資料名無題
資料番号3-01-06-02-0059
寄贈年月日2002/7/29
寄贈者名 山口カズ子
資料説明

(作者コメント:原文のまま)1945年8月9日、私は大橋町の三菱兵器製作所、技術部設計課に勤務していました。ピカッと一瞬閃光が走ったかと思った後は気を失っていました。気がついた時は天井の梁や材木の下敷になっていました。何とか這い出し非常階段より外に出ましたが、そこは変り果てた地獄の様な修羅場でした。鉄筋コンクリート三階建の屋上には防火用の水が溜めてありましたが、壊れた壁より水が滝のように流れ落ちていました。髪は皆ボウボウと逆立ち、着物は引きちぎれ、頭から血が吹き出し全身血まみれになりながら、ただただ逃げ場を求めて右往左往する人々の群。私は呆然と立ちすくんでしまいました。その時一人の女性が「顔が真黒よ、これで拭きなさい」と一枚の白いタオルを私の手に渡して走り去って行きました。私は異様な匂ひの中、そのタオルを口に当て岩屋山麓めざしてただ逃れました。途中切れた電線がぶら下り、焼けこげたかぼちゃがごろごろと畑にむき出しにころがっていたのが目に残っています。名前も告げず、ありがとうの言葉も聞かず走り去ったあの方は、今どうしておられるだろうか。(H14年度、NHK、長崎新聞社などと共催して募集した「被爆者が描く原爆の絵」作品)